「鶏」
旧字体は「鷄」である。

白川静『常用字解』
「形声。音符は奚。“にわとり” をいう。奚は鶏の鳴き声を写したもの」

[考察]
擬音語説はもっともらしいが、ほかでもなくなぜ奚という記号が選択されたかには別の理由がある。林義光(中国の文字学者)は「鶏を縛する形に象る。鶏は常に係縛するの鳥なり」(『文源』)と解釈している。奚は「爪(下向きの手)+幺(糸・紐の形)+大(人の形)」を合わせて、人を紐でつなぐ様子を暗示させる図形である。実現される意味は奴隷であるが、実体に重点があるのではなく、形態に重点がある。つまり「紐でずるずるとつなぐ」というイメージを示すために奚が使われるのである。したがって鷄は「奚ケイ(音・イメージ記号)+鳥(限定符号)」を合わせて、紐でつないで飼い馴らした鳥を暗示させる。
ニワトリは原鶏(セキショクヤケイ)を馴化した鳥である。甲骨文字の段階ですでに「奚」のついた字が出現している。太古において馴化されたのであるが、野生の鳥を飼い馴らしたという記憶が殷代まで伝えられたのであろうと推測される。