「現」

白川静『常用字解』
「形声。音符は見。古い文献に見えず、おそらく顕(顯)の形声の字として作られた字であろう。偏の王はおそらく霊の力を持つ玉。玉に糸飾りをつけて神霊の憑りどころとし、これを拝んでいる姿が顕。そこに神霊が顕(た)ち顕れるのである。現はこの顕に代わる字として、“あらわれる” の意味に使われたのであろう」

[考察]
甲骨文字を神に結びつけて説く字源説は白川漢字学説の特徴であるが、甲骨文字以外でもこれを適用する。現は六朝以後に出現する字で、甲骨文字から1500~2000年の時間差がある。これも同じように神霊と絡める。いささか時代錯誤の感がある。
現は見から分化した字である。見は「はっきり現れる」というコアイメージから①物の姿がはっきり現れ目に見えるという意味と、②隠れていたものがはっきり姿を現すという意味を実現させる(459「見」を見よ)。①をken、②をɦenといい、両者とも見の一字で表記していたが、かなり後世になって分化し、②を現と書くようになった。
現は「見(音・イメージ記号)+玉(限定符号)」と解析する。見は「はっきり現れる」というイメージがある。玉は比喩的限定符号である。限定符号は図形的意匠を作るために場面設定の働きがある。現は玉のようにはっきりと目の前に現れて見える情景というのが図形的意匠。これによって「あらわれる」ことを意味するɦenを表記する。