「護」

白川静『常用字解』
「形声。音符は蒦カク。蒦は雈(みみずく)を又(手の形)に持って鳥占いをすることを示す字で、鳥占いで災いを祓い、身を守ることを求めるの意味であろう。それで護は“まもる” の意味となる」

[考察]
「獲」と「穫」の項では蒦を「鳥をとる」の意味としている。本項では「鳥占いで災いを祓い、身を守ることを求める」の意味とする。一貫性がない。また蒦(身を守ることを求める)に言を合わせて、なぜ「まもる」の意味になるのか分からない。なぜ言がついているのか。
字形から意味を導くことに問題がある。意味は古典の用例から分かることである。
 原文:敎護家事、父母之則也。
 訓読:家事教護するは、父母の則 なり。
 翻訳:家の事を教えて守るのは、父母の務めである――『管子』形勢解

護は大事にかばって守るという意味である。これを古典漢語ではɦuag(呉音ではゴ、漢音ではコ)という。これを代替する視覚記号が護である。
護は「蒦カク(音・イメージ記号)+言(限定符号)」と解析する。蒦は獲や穫を構成する記号で、「枠に入れてかばう」というイメージがある(189「獲」、191「穫」を見よ)。これは「周囲を取り巻く」というイメージにも展開する。言は言葉やしゃべることに関わる限定符号。限定符号は図形的意匠を作るための具体的場面を設定する働きがある。したがって護は「言葉をかけて、身の周りを取り巻いて大事にかばう情景」という意匠を作った図形。これによって上記の意味をもつɦuagを表記する。