「岬」

白川静『常用字解』
「形声。音符は甲。玉篇に“山の旁なり” とあり、山と山との間、山あいの意味とする」

[考察]
白川漢字学説は形声の説明原理がなく会意的に説く特徴があるが、本項では甲から会意的に説明ができないので、字源を放棄している。
岬は「甲(音・イメージ記号)+山(限定符号)」と解析する。甲は「覆いかぶさる」というイメージがある(531「甲」を見よ)。岬は二つの山が覆いかぶさるほど迫った地形を暗示させる。この図形的意匠によって、はざまを意味する漢語kʌp(呉音ではケフ、漢音ではカフ)を表記する。魏晋以後に作られた字で、『文選』に「岬岫を倒(さかしま)にす」(山のはざまと岩穴をさかさまにする)という用例がある。
岬を「みさき」の意味に使うのは日本的展開である。