「洪」

白川静『常用字解』
「形声。音符は共。“おおみず” をいう」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく、会意的に説くのが特徴である。本項では共からの説明ができないので、字源を放棄している。
洪は「共(音・イメージ記号)+水(限定符号)」と解析する。共は「(全部が)一緒にそろう」 というイメージがある(349「共」を見よ)。全部(多くのもの)がそろうと数量が増えるから、「大きい」というイメージにも展開する。したがって洪は水量の大きく増えた水を暗示させる。この図形的意匠によって「おおみず」を意味する古典漢語ɦung(呉音ではグ、漢音ではコウ)を表記する。
洪は最古の文献である『詩経』や『書経』に出ている。