「絞」

白川静『常用字解』
「形声。音符は交。交は足を組んで立っている人の形で、すべてものを交叉することをいう。首を締めて殺すことを絞首という。絞は“くびる、しめる” の意味である」

[考察]
白川は『説文解字』の「絞は縊(くび)るなり」を引いて、「首を締めて殺す」を絞の最初の意味としたが、古典に次の用例がある。
 原文:桐棺三寸、葛以緘之、絞之不合。
 訓読:桐棺三寸、葛以て之を緘カンし、之を絞コウするも合はず。
 翻訳:桐製の棺桶は三寸で、クズで封じようとして、縛ってもぴったり閉まらない――『墨子』節葬
絞は紐や縄で縛るという意味で使われている。これが最初の意味である。『釈名』で「絞は交なり。之を交結するなり」と語源を説くように、紐で×形に結ぶという意味である。
絞は「交(音・イメージ記号)+糸(限定符号)」と解析する。交は「×形に交差する」というイメージがある(532「交」を見よ)。したがって絞は紐を×形に交差させて物をしばる(しめる)情景を暗示させる。
首をしめて殺すの意味はその転義である。