「紺」

白川静『常用字解』
「形声。音符は甘。説文に“帛の深青にして赤色を揚ぐるものなり” とある。紺は深い青に赤色を含んだ色、“こん、こんいろ”をいう」

[考察]
甘の説明がない。これでは形声の説明ができず、会意の説明にもならない。206「甘」では「錠をして鍵をかけた形」と解釈している。甘からの説明ができないのは当然であろう。
紺は色の名である。『釈名』(後漢、劉熙 の撰)では「紺は含なり。青にして赤色を含むなり」と語源を説いている。赤に青を含んだ色、深みのある青色を古典漢語ではkəm(呉音ではコム、漢音ではカム)といった。これに対する視覚記号として考案されたのが紺である。
紺は「甘(音・イメージ記号)+糸(限定符号)」と解析する。甘は口に物を含む図形である。「中に含む」というイメージを表すことができる(206「甘」を見よ)。したがって紺は糸の染色の工程において、青色の染料に赤色の染料を含ませる状況を暗示させる。青に赤を混ぜた色が紺である。