「査」

白川静『常用字解』
「形声。音符は且。古い字形は樝に作り、“こぼけ”という木の名であった。槎と通用して、いかだの意味に用いられることもあった」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく、すべて会意的に説く特徴がある。本項では且から説明ができないので、字源を放棄している。
査は六朝以後に創作された字で、『博物志』(晋、張華の撰)に「飛閣を査上に立つ」(いかだの上に高い楼閣を立てた)という用例がある。査は「いかだ」の意味で使われた。
制作時代の遅い漢字ではあるが、漢字の造形法にのっとっている。且は祖・組・阻・俎などの構成要素となっている。且は「縦に段々と重なる」というイメージを表す記号であるが、視点を縦から横に変えると、▯-▯-▯-▯の形に並ぶというイメージになる。 したがって「且シャ(音・イメージ記号)+木(限定符号)」を合わせて、木を▯-▯-▯-▯の形に並べて造ったもの、すなわち「いかだ」を暗示させる。
近世になって、査はチェックして調べるという意味に転じた。これはどんな意味展開の仕方か。点検(チェック)は通過するものを止めて行う。阻止して通さないようにするために障害物を置くこともある。柵などを置けば通行を阻める。段々と重なったものや▯-▯-▯-▯の形に並んだものは柵のイメージである。このような物で通行を止めてチェックする。これが査の意味展開の筋道である。