「砂」

白川静『常用字解』
「形声。音符は少。少は小さな貝を紐で綴った形で、その小さな貝を𧴪という。小さな貝のようにやや粗い“すな” を砂という。水辺の砂浜にある細かいすなを沙という」

[考察]
少は「小さな貝を紐で綴った形」というが、そんな形には見えない。どこに貝があるのか。それはむしろ𧴪の字解であろう。小さな貝とするから、砂はやや粗いすな、沙は細かいすなと区別したようだが、砂は沙の異体字であって音も意味も同じ。
「すな」を意味する古典漢語はsăr(呉音でシャ、漢音でサ)である。これを最初は沙と表記した。周代初期の文献に出ている。
 原文:鳧鷖在沙
 訓読:鳧鷖フエイ沙に在り
 翻訳:カモとカモメが砂の上にいる――『詩経』大雅・鳧鷖
その後(春秋戦国時代の頃)、砂という表記ができた。これは沙が「不純物を選り分ける」という意味を派生したため、「すな」に限定するためである。
水を石に換えたのが砂である。だから「沙の略体(音・イメージ記号)+石(限定符号)」と解析する。少は「そぎ取って小さくする」というイメージがある(「少」で詳述)。「少(イメージ記号)+水(限定符号)」を合わせた沙は、水で洗われて小さく砕けたもの、つまり「すな」を暗示させる。限定符号を水から石に替えて、石と縁があることを明示した。