「鎖」

白川静『常用字解』
「形声。音符は𧴪(サ)。𧴪 は小さな貝。これを綴って鎖のような形にする。そのように綴って長い紐状にした金属質のものを鎖という」


[考察]
鎖は古典に次のような用例がある。
 原文:鐵鎖長三丈。
 訓読:鉄鎖、長さ三丈。
 翻訳:鉄製のくさりの長さは三丈である――『墨子』備穴
鎖は「くさり」の意味であって、貝とは何の関係もない。
鎖は「𧴪(サ)(音・イメージ記号)+金(限定符号)」と解析する。𧴪は「小(イメージ記号)+貝(限定符号)」を合わせたもので、小さい貝を暗示させる。ただしそんな意味はない。瑣や煩瑣の瑣の音・イメージ記号として作られた字である。𧴪は「小さい」「細かい」「細々としている」というイメージを示す記号である。
「くさり」は小さな金属類からできているので、「小さい」というイメージを示すAを用いて、くさりを意味するsuar(呉音・漢音でサ)を鎖で表記した。
ちなみに瑣は小さい、細かいという意味である(瑣末・煩瑣)。