「傘」

白川静『常用字解』
「象形。雨がさを開いた形」

[考察]
傘が象形文字であることは間違いない。ただし字形から意味が出るのではない。「かさ」を意味する言葉があって、それを表記するために字形が考案された。
「かさ」を意味する言葉は古典にはない。後漢から六朝時代にかけて繖が現れる。「かさ」をsanといい、繖と表記したのである。散という音・イメージ記号からなぜ「かさ」をsanといったのかが分かる。散は「↲↳の形に分かれる」というイメージがある(672「散」を見よ)。↲↳の形は視点を変えれば∧の形にもなる。かさは開くと∧の形を呈するのでsanというのである。
六朝以後になって傘という字に変わった。これは∧の形をはっきりと印象づける。