「磁」

白川静『常用字解』
「形声。音符は茲。茲はもと玄(黒く染めた色たばの形)を二つ並べた形で、黒いものの意味がある。黒ずんだ鉄のようは石を磁といい、“じしゃく” をいう」

[考察]
738「滋」の項では「茲は糸たばを並べた形で、ものの多いことをいう」と述べ、本項では「玄を二つ並べた形で、黒いものの意味がある」という。不統一である。
玄を二つ並べた玆は茲とは別字で、音は胡涓切(呉音でゲン、現代中国語音ではxuán)と読む。白川は茲と玆を混同している(もっとも中国でもしばしば混同された)。
磁は「茲シ(音・イメージ記号)+石(限定符号)」と解析する。茲は「小さいものがどんどん増える」というイメージがある(738「滋」を見よ)。したっげ磁は鉄くずなどを次々に引き寄せて増やす性質のある石(鉱石、鉱物)を暗示させる。磁石のことである。