「車」

白川静『常用字解』
「象形。車の形。車の車体とその左右に両輪を加えた形」

[考察]
字源的には「車」はくるまの形で済むが、語源的にも究明する必要がある。古典漢語はkiag(kio、コ、キョ)と推定されている。現代中国語ではchēのほかにjūの音、韓国語では차のほかに거の音がある。日本ではシャの音だけである。
『釈名』(後漢、劉熙の撰)では「古者、車の声を曰ひて居の如し。居らしむる所以の人を行(や)るなり」(昔の車の発音は居のようであった。人を目的地に腰を落ち着けて運ぶものである)と語源を説いている。車と居を同源の語と見ている。「腰を落ち着ける」というコアイメージから、乗る道具(くるま)の意味が実現されたと考えられる。
この古典漢語を表記するために考案されたのが「車」である。二輪のくるまを描いた図形である。

ちなみに自転車は韓国語では자전거(チャチョンゴ)であり、車は거(コ)と読む。韓国語には古典漢語の音が中国や日本よりも多く残っているが、거(車)のその一つ。自転車を意味する日本の俗語に「ちゃりんこ」があるが、韓国語の자전거から来ているのではあるまいか。