「株」

白川静『常用字解』
「形声。音符は朱。朱は木の幹の部分に肥点(●)を加えている形で、木の“かぶ”をいう。株とは木の根に近い部分をいい、地下にあるものを根、地上の部分を株という」

[考察]
上の説明では株と幹の区別がつかない。字形から意味を導くのが白川漢字学説の方法である。言葉という視点がないと意味は捉えられない。
株は古典に次の用例がある。
 原文:田中有株、兔走觸株、折頸而死。
 訓読:田中株有り、兎走りて株に触れ、頸を折りて死す。
 翻訳:畑に木のかぶがあり、ウサギが走ってきて、かぶにぶつかって死んでしまった――『韓非子』五蠹
株は木の切りかぶの意味である。木そのものではなく、切った後に地上に残ったものである。これを古典漢語ではtiug(呉音・漢音でチウ。シュは慣用音)という。これを代替する視覚記号として株が考案された。
株は「朱(音・イメージ記号)+木(限定符号)」と解析する。朱は木の中ほどに「━」の符号をつけて、木を途中で切断する情景を設定した図形。朱は「途中で断ち切る」というイメージを示す記号になる(782「朱」を見よ)。したがって株は木の幹を途中で切断し、後に残ったもの、すなわち「切りかぶ」を暗示させる。