「収」
正字(旧字体)は「收」である。

白川静『常用字解』
「会意。丩きゅうと攴(攵)とを組み合わせた形。丩は縄をより合わせるようにまきつけることをいう。攴にはうつという意味があるから、縄をうち固め、強くまとめ、“おさめる” ことをいう」

[考察] 
收に「縄を打ち固め、強くまとめる」という意味があるだろうか。またこれが「おさめる」の意味であろうか。字形の解釈をストレートに意味としている。
意味とは「言葉の意味」であって、字形から出るものではない。言葉の使われている文脈に求めるべきである。收は次のような用例がある。
①原文:子玉收其卒。
 訓読:子玉、其の卒を収む。
 翻訳:子玉[人名]はその[潰走した]兵士を集めまとめた――『春秋左氏伝』僖公二十八年
②原文:此宜無罪 女反收之
 訓読:此の宜しく罪無かるべきもの 女(なんじ)反(かへつ)て之を収む
 翻訳:罪のないはずの彼らを お前は逆に捕まえた――『詩経』大雅・瞻卬

①は散在したものを一所にまとめる意味、②は逃げたものを捕まえて枠の中に入れる(取り押さえる)の意味で使われている。これを古典漢語でthiog(呉音でス、漢音でシウ)という。これを代替する視覚記号として收が考案された。
收は「丩キュウ(音・イメージ記号)+攴(限定符号)」を解析する。丩は 丩は二つの曲がった線を互い違いによじる様子を示す象徴的符号で、「§の形によじり合わせる」というイメージを表すことができる。これは引き絞る行為でもあるから、「(中心に)引き締める」というイメージに転化する(328「糾」を見よ)。攴は動作を示す限定符号である。收は散在するものを中心のほうへ引き締めて、一所(囲った場所)にまとめて入れる情景を設定した図形である。この図形的意匠によって①の意味をもつthiogを表記する。
「中心に引き締める」というイメージは「囲った枠にまとめる」というイメージにも転化する。これが②の意味になる。