「縮」

白川静『常用字解』
「形声。音符は宿。縮・蹴(ける)・蹙(せまる、ちぢまる)にはみな“ちぢむ”の意味があり、同じ系列の語である」

[考察]
白川学説らしからぬ説明である。縮・蹴・蹙を同源語とし、「ちぢむ」の意味が共通にあるという。これは単語家族の考え方であり、藤堂学説そのものである。藤堂は宿のグループ、就のグループ、戚のグループだけではなく、秋のグループ、酉・酋のグループ、粛のグループなども一つの単語家族にくくり、TSOG・TSOKという音形と、「搾る・縮む・細い」という基本義があるとしている(『漢字語源辞典』)。
白川は「ちぢむ」の意味があるというが、意味ではなく、コアイメージである。言葉の意味の深層構造(根底、核)にあるイメージがコアイメージである。
白川は宿と縮の関係を捉えていない。宿を「廟などの神聖な建物に宿直する」の意味とするから、縮とのつながりを捉えることはできない。白川漢字学説には形声の説明原理がないから当然であろう。
形声の説明原理とは言葉の深層構造に掘り下げて、コアイメージを捉えて、意味を説明する方法である。
縮は「宿(音・イメージ記号)+糸(限定符号)」と解析する。宿は狭いむしろに縮まって寝る情景を設定した図形である。これによって「身を縮める」「引き締める」というイメージを表すことができる(832「宿」を見よ)。縮は紐や縄で物を引き締めて縛る情景を暗示させる図形である。図形的意匠は意味と同じではない。意味は間隔(幅や大きさ)を縮めることである。