「瞬」

白川静『常用字解』
「形声。音符は舜。説文には瞚に作り、また䀢に作る字もある。寅は矢の両がわに手をそえて、矢をまっすぐに正す形で、つつしむの意味がある。瞚・䀢はともに矢を目に当てている形で、矢によって思わず目を“またたく、まばたく”ことをいう」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説く特徴がある。本項では舜から会意的に説明できないため、瞚と䀢から説明する。しかし寅は「つつしむ」の意味というから「まばたく」との関係が不明。また䀢は矢を目に当てることから「思わず目をまたたく」の意味という。しかし古典では䀢は目配せする意味で使われている。上の字解は字源説の体をなしていない。
瞬は「舜シュン(音・イメージ記号)+目(限定符号)」と解析する。舜は「A+舛」に分析する。Aは[匚+炎](匚の中に炎を入れた形)で、炉の中で炎がゆらゆらと揺れ動いて燃えている状況を示す図形。舛はステップを踏む両足の形で、舞の下部に含まれている。限定符号としてはダンスや両足の動作に関係があることを示し、「まいあし」と呼ぶ。「A(イメージ記号)+舛(限定符号)」を合わせた舜は、ひっきりなしに足を動かす情景を設定した図形。この意匠によって「すばやく動く」というイメージを表すことができる。かくて瞬は目をぱちぱちとすばやく動かす状況を暗示させる。この図形的意匠によって、まぶたをすばやく開閉させる(まばたく、またたく)ことを意味する古典漢語thiuәn(呉音・漢音でシュン)を表記する。