「昇」

白川静『常用字解』
「形声。音符は升。昇降のときには古くは陞の字を用いた。昇は日が昇るときに用いる字で、漢代以後に使用例がある」

[考察」
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くの特徴がある。本項では升からの説明ができず、字源を放棄している。
昇は升から分化した字である。升は「ます」であるが、この語のコアには「上に(高く)上げる」というイメージがある(873「升」を見よ)。このコアイメージから、高い所に登るという意味と、空中に高く上がるという意味が生まれる。後者から昇が分化した。
昇は「升(音・イメージ記号)+日(限定符号)」と解析する。升は「上に高く上がる」というイメージを示す。昇は太陽が高く上がる情景を設定した図形。しかし太陽に限らず、何かが空中にのぼる意味である。昇天・上昇の昇はこれである。また空中以外に、高い所に上がるという意味にも用いられる。昇降・昇殿の昇はこれ。また比喩的に高い地位にのぼるという意味を派生する。昇進・昇級の昇はこれである。