「昭」

白川静『常用字解』
「形声。もとの字は卲に作り、音符は召。召はᆸ(祝詞を入れる器の形)を供えて神霊の降下することを祈り、それに応えて神霊(人の形)が降る形。卩は跪く人の形であるから、卲は降下する神霊を迎えて拝む形で、霊威の明らかであることをいう」

[考察]
白川漢字学説では日偏と召の結びつきが悪く、「明らか」の意味が導けないので、卲から説明したふしがある。しかし卲と昭は別字である。卲は「高尚、美好」の意味(『漢語大詞典』)で、「霊威が明らか」という意味はない。
召の解字の疑問については875「召」で述べた。
昭の古典での用例を見てみよう。
①原文:昊天孔昭
 訓読:昊天孔(はなは)だ昭らかなり
 翻訳:大空ととても明るい――『詩経』大雅・抑
②原文:德音孔昭
 訓読:徳音孔(はなは)だ昭らかなり
 翻訳:情ある言葉はとてもさわやか――『詩経』小雅・鹿鳴

①は光り輝いて明るい意味、②はくもりがなくはっきりしている意味で使われている。これを古典漢語ではtiɔg(呉音・漢音でセウ)という。これを代替する視覚記号として昭が考案された。
昭は「召(音・イメージ記号)+日(限定符号)」と解析する。召は「⁀形や‿形に曲がる」というイメージがある(875「召」を見よ)。このイメージは「反り返る」というイメージ、また「跳ね返る」というイメージにも転化する。昭は日の光が反射して周辺を明るく照らす状況を暗示させる。この意匠によって、日光で照らされて明るいことを意味するtiɔgを表記する。