「剰」
正字(旧字体)は「剩」である。

白川静『常用字解』
「形声。音符は乘。この字は古い文献には見えず、賸ようの俗字とされる」 

[考察]
剩は漢代の文献に見える。白川は乘からの説明ができず剩の字源を放棄した。
剩は「乘(音・イメージ記号)+刀(限定符号)」と解析する。乘は「上に上がる」というコアイメージがある(927「乗」を見よ)。このイメージは「基準線の上に出る」「上にはみ出る」というイメージに展開する。刀は刀や刃物に関わる限定符号。限定符号は図形的意匠を作るために場面を設定する働きもある。剩は刃物で切った余りがはみ出る情景を設定した図形である。この図形的意匠によって、「はみ出て余る」ことを意味するdiәng(呉音でジョウ、漢音でショウ)という言葉を表記する。