「錠」

白川静『常用字解』
「形声。音符は定。説文に“鐙なり” とあって、豆とよばれる食器に脚のあるもの、いわゆる“たかつき”をいう」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では定からの説明ができないので、字源を放棄している。
錠は「定(音・イメージ記号)+金(限定符号)」と解析する。定は一所に止まって動かない(落ち着く、さだまる)という意味で、この言葉の根底には「⊥の形にじっと止まる」というイメージがある(「定」で詳述する)。錠は⊥の形にじっと安定させておく金属製の器を暗示させる。この意匠によって脚のついたたかつきという意味をもつdengを表記した。
また別の意味も生じた。定には「固定する」という意味もあるので、型に入れて固定させた金属(餅や豆板の形をした金銀の塊)を同じ音で呼び同じ字で表す。これとの類似性から、似た形に固めた薬を錠という。これが錠剤の錠である。
また日本では、型(枠)にはめて固定することから、錠前や手錠という意味で使うようになった。