「伸」

白川静『常用字解』
「形声。音符は申。申は稲妻(電光)の形。屈折しながら斜めに走る形であるから、のびるの意味となる。人が屈伸する(のびちぢみする)ことを伸という」

[考察]
「人が屈伸する」の意味とあるが、屈は「かがむ」、伸は「のびる」で、屈伸する意味ではない。なお「あくび」を欠伸と書いているが、欠は「あくび」、伸は「のび」である。要するに伸は背伸びすることである。
伸は次の用例がある。
 原文:君子時屈則屈、伸則伸也。
 訓読:君子は時に屈すれば則ち屈し、伸ぶれば則ち伸ぶるなり。
 翻訳:君子とは時勢によって屈するときは屈し、背伸びするときは背伸びするものだ――『荀子』仲尼
伸はかがまったものがすっくと伸びる意味である。これを古典漢語ではthienといい、伸で表記する。
伸は「申(音・イメージ記号)+人(限定符号)」と解析する。申は「長くのびる」というイメージがある(954「申」を見よ)。伸は人が背筋をまっすぐのばす情景を暗示させる図形である。