「粋」
正字(旧字体)は「粹」である。

白川静『常用字解』
「形声。音符は卒。説文に“雑ならざるなり”とあり、精米、まじりけがない米をいう」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では会意的に説明できず、字源を放棄している。
まず古典における粹の用例を見よう。
 原文:其神純粹、其魂不罷。
 訓読:其の神は純粋、其の魂は罷(つか)れず。
 翻訳:かれ[聖人]の精神は混じり気がなく、彼の霊魂は疲れることがない――『荘子』刻意
粹は質がそろっていてほかのものが混じっていない(混じり気がない)という意味で使われている。これを古典漢語ではsiuәd(呉音・漢音でスイ)という。これを代替する視覚記号として粹が考案された。
粹は「卒(音・イメージ記号)+米(限定符号)」と解析する。卒は衣に丿(印)をつけた図形である。衣に判別する印を付けて、ユニホームを着けた小集団(召使いや兵士など)を表している。ここに「小さいものがそろってまとまる」「一様にそろっている」というイメージがある。したがって粹は米が一様にそろっていて他のものが混じっていない状況を暗示させる。この図形的意匠によって上記の意味をもつsiuәdを表記する。