「姓」

白川静『常用字解』
「形声。音符は生。生は草の生え出る形で、人が生まれるの意味がある。人が生まれて血縁によってつながる人びと、すなわち“親族(やから)” を姓という」

[考察]
『孟子』に「名を諱(い)むも姓を諱まず」(名はタブーとして言うのを避けるが、姓は避けない)という用例がある。この姓を「親族」と取っては意味をなさない。一族や家族の共通の標識、つまり名字が姓である。
上の字源説は不十分である。
古人は「姓は生なり」と語源を説いている。姓は生から派生・分化した語で、人の生まれ(血筋や出身)を示す標識という意味である。
なぜ「生」に限定符号の女を添えたのか。古代の姓には姫・姒・姜など女偏が多い。これは女を始祖とする部族の伝説があり、母系社会の名残と考えられる。