「請」

白川静『常用字解』
「形声。音符は青。説文に“謁するなり” とあり、身分の高い人にお目にかかるの意味とする。お目にかかることをこうということから、“こう、もとめる、ねがう”の意味に用いる」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では青から会意的に説明できていない。字源の体をなしていない。また意味の解釈もおかしい。
まず請の古典における用例を見る。
 原文:子路請禱。
 訓読:子路禱らんことを請ふ。
 翻訳:子路は神に祈ることを願い出た――『論語』述而
請は物事を一途に頼む(相手に何かをしてほしいと頼む、また、自分が何かをしたいと願い求める)の意味である。これを古典漢語ではts'ieng(呉音でシヤウ、漢音でセイ)という。これを代替する視覚記号として請が考案された。
請は「青(音・イメージ記号)+言(限定符号)」と解析する。青は「汚れがなく澄み切っている」というイメージがある。「汚れがない」や「澄み切る」は物質の状態を表すイメージだが、心理的なイメージにも転用できる。情では他の雑念にとらわれず、そのことをしたいと思う混じり気のない本当の気持ちを暗示させる(933「情」を見よ)。同様に請は、雑念を交えず(混じり気のない気持ちで)、ひたすらそれだけを頼む状況を暗示させる。この図形的意匠によって上記の意味をもつts'iengを表記する。