「夕」

白川静『常用字解』
「象形。夕方の月の形。“ゆう、ゆうべ” をいう」

[考察]
「夕方の月」というが、単に月(三日月)の形であろう。夕と月は字形上区別がつかない。なぜ夕が「ゆう」、月が「つき」の意味なのかは、ひとえに言葉が違うからである。ゆうがたを意味する古典漢語をziak(呉音でジャク、漢音でセキ)といい、夕の図形で表記し、一方、つきを意味する古典漢語をngiuăt(呉音でゴチ、漢音でグヱツ)といい、月の図形で表記したのである。
白川漢字学説は字形から意味を導く方法である。「月の形」からは「つき」の意味しか出てこないので、ゆうがたの意味を導くために「夕方の月の形」としたふしがある。