「泉」

白川静『常用字解』
「象形。崖の下から流れ落ちる水の形。“源泉(いずみ)、わきみず”をいう」

[考察]
字源説としては妥当である。ただ492「原」では「崖の間から水が流れ落ちる形」とあり、字形から意味を引き出すと、泉と原の区別がつかない。泉が「いずみ」、原が「みなもと」である理由は、前者がdziuan(呉音でゼン、漢音でセン)、後者がngiuăn(呉音でゴン、漢音でグヱン)で、言葉が違い、意味が違うからである。意味とは具体的文脈で使われる言葉の使い方である。
泉は次の文脈で使われている。
 原文:無飲我泉
 訓読:我が泉に飲むもの無し
 翻訳:私の泉の水を飲むものはいない――『詩経』大雅・皇矣
泉は地中から湧き出る水(いずみ)の意味である。図形の泉は丸い岩穴から細い水が流れる状況を描いている。泉は狭い穴を穿って湧き出る水だから、「狭い穴」というイメージがある一方、流れの形状に視点を置けば、「細く小さい筋」というイメージもある。このイメーは線に生きている。