「栓」

白川静『常用字解』
「形声。音符は全。広雅に“釘なり” とあり、釘のようは形の、口の細い瓶などに蓋をする“せん、つめ”をいう」

[考察]
形声でも会意として説くのが白川漢字学説の特徴であるが、本項では全からの説明がない。不十分な字源説である。
「釘のような形」とは瓶のことか、蓋のことか。どちらも釘の形には見えない。釘という実体から説明すると不自然である。実体ではなく形態のイメージから意味転化を説明すべきである。
栓は「全(音・イメージ記号)+木(限定符号)」と解析する。全は「欠け目なくそろう」というコアイメージがある(1095「全」を見よ)。栓は板の穴にはめ込んで、隙間をぴったりふさぐもの、木釘を表している。
木釘は隙間なくふさぐものであるから、「隙間をふさぐ」という二次的イメージが生まれる。このイメージから、瓶や管などの入り口をふさぐものという意味が生まれる。これが血栓・塞栓の栓である。