「荘」
正字(旧字体)は「莊」である。

白川静『常用字解』
「形声。音符は壯(壮)。壮に“さかん、おおきい、つよい” の意味がある。それで“おごそか”の意味に用いる」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では艸の説明がない。また「さかん、おおきい、つよい」と「おごそか」の意味のつながりがはっきりしない。不十分な字源説である。
まず古典における莊の用例を見る。
 原文:臨之以莊則敬。
 訓読:之に臨むに荘を以てすれば則ち敬す。
 翻訳:重々しい態度で民に臨めば、民に尊敬の念が起こる――『論語』為政
莊は形や態度が立派で重々しいという意味で使われている。これを古典漢語ではtsïang(呉音でシヤウ、漢音でサウ)という。これを代替する視覚記号として莊が考案された。
莊は「壯(音・イメージ記号)+艸(限定符号)」と解析する。壯のコアイメージを提供する記号は爿である。これはベッドの形であるが、「細長い」というイメージを示す記号になる。「細長い」は「長い」というイメージ、さらに「高い」「大きい」というイメージ、さらに「スマートである」というイメージに展開する。壯もこれらのイメージを表す記号になりうる(1114「壯」を見よ)。 艸は草と関わる限定符号だが、限定符号は意味領域の指示のほかに、図形的意匠を作るための場面設定の働きもある。莊は草がぐんぐん伸びて丈が高くスマートになった情景を設定した図形である。この図形的意匠によって、形が立派に整って重々しく感じられる状況を暗示させた。したがって①の意味をもつtsïangを莊で表記する。