「僧」
正字(旧字体)は「僧」である。

白川静『常用字解』
「形声。音符は曾。曾は甑の形で、甑(こしき)のもとの字。梵語の僧伽samghaを省略した音訳語で、仏教を修める人をいう」

[考察]
梵語の音訳語の表記として作られた字であることは確かであるが、なぜ僧が作られたかの理由の説明がない。上の説明では甑との関連性がはっきりしない。
外来語の音写字は単なる音声記号として作られるのではなく、意味との関連性のある字を選んで作られることが多い。これは外来語の翻訳ではよく見られるテクニックである。
僧の文献への登場は六朝時代である。漢字の造形の原理はまだ失われていない。造形の原理とは言葉の意味のイメージを図形化する方法である。
僧は「曾(音・イメージ記号)+人(限定符号)」と解析する。当時の僧の音はsəngで、曾(tsəng)と類似する。これが曾の字を選ぶ第一の動機である。次に曾は焜炉の上に蒸籠を載せた調理器具の形を描いた図形。実体に重点があるのではなく形態・機能に重点があり、「上に重なる」というイメージを示す記号になる。「上に重なる」というイメージを垂直軸から水平軸に視点を変えれば、「重なるようにたくさん集まる」というイメージに転化する。これが曾を選ぶ第二の動機である。梵語のsamghaは集団の意味がある。したがって僧の図形によって修行者の集団を暗示させることができる。