「霜」

白川静『常用字解』
「形声。音符は相。詩経に“白露、霜と為る”とあり、露が氷結して霜となるという」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では相から会意的に説明できず、字源を放棄している。
古典漢語では「しも」のことをsïang(呉音でシャウ、漢音でサウ)という。この語は疎(まばら)や喪(ばらばらになる)などと同源で、「ばらばらに離れる」というコアイメージがある。『詩経』の用例にある通り、「しも」は露が凍ったものと考えられ、ばらばらになった粒状のイメージで捉えられた。
霜は「相(音・イメージ記号)+雨(限定符号)」と解析する。相は「▯ー ▯の形に向かい合う」というイメージから「▯ー▯の形に離れて並ぶ」というイメージに転じる(1119「相」を見よ)。このイメージはさらに「▯-▯-▯-▯の形にばらばらに離れる」というイメージにも転化する。これは「点々と粒状に並ぶ」というイメージでもある。かくて霜は水分が凍ってばらばらな粒状になったものを暗示させる図形である。この図形的意匠によって「しも」を意味するsïangを表記した。