「袋」

白川静『常用字解』
「形声。音符は代。説文新附に“帒たいは囊ふくろなり” とあり、説文に“幐とうは囊なり”とあり、帒・幐・袋はもと同じ語であろう」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなくすべて会意的に説くのが特徴であるが、本項では代から会意的に説明できず、字源を放棄している。
袋は六朝以後に現れる比較的新しい漢字で、漢代以前には遡れない。当時の言葉で「ふくろ」のことをdəi(呉音でダイ、漢音でタイ)といい、次の用例がある。
 原文:布袋絞取純汁。
 訓読:布袋もて絞りて純汁を取る。
 翻訳:布のふくろで絞って、澄まし汁を取る――『斉民要術』巻五
当時もまだ漢字の造形原理は失われていないと考えられる。袋は「代(音・イメージ記号)+衣(限定符号)」と解析できる。代は「A⇄Bの形に互い違いに入れ代わる」というイメージがある(1201「代」を見よ)。衣は衣類と関係があることを示す限定符号だが、異体字の帒の巾と同じで、布と考えてよい。したがって袋は物を出し入れする用途のある布、つまり「ふくろ」を暗示させている。