「竹」

白川静『常用字解』
「象形。竹の葉が垂れている形。“たけ” をいう」

[考察]
どの字典でも竹の象形文字で一致している。誤りではないが、字形から意味を求める方法は誤りである。
竹が「たけ」であることは古来の語の使用例から判断できる。しかし竹が未解読の文字だとしたら、竹の形は「たけ」に見えるだろうか。字形から意味が分かるだろうか。竹が「たけ」の意味と分かっているから、「竹」は竹の象形文字だと言っているに過ぎない。
歴史的、論理的に考えよう。古典漢語で「たけ」を意味するtiok(呉音・漢音ではチク)という言葉があった。これを文字表記に換えるために「竹」の図形が考案された。これは二本のたけの枝を並べた図形。このように言葉の表記として文字が考案されたのであって、逆ではない。字形から意味を見るのは非歴史的、非論理的である。このことはすべての漢字に当てはまる。漢字は「字形→意味」の方向ではなく、「意味→字形」の方向に見るのが正しい見方である。