「庁」
正字(旧字体)は「廳」である。

白川静『常用字解』
「形声。音符は聽。聴は神の声を聞くことができる聡明の徳をいう。廳は事を聴き、訴えを裁くなどのことをおこなった“役所”をいう」

[考察]
聴に「神の声を聞くことができる聡明の徳」などといった意味はない。神の声も聡明も無関係である。ただ「聴き取る」 という意味である。廳も神の声や聡明の徳とは何の関係もないことである。
廳は漢代の頃に出現する字である。『風俗通義』(漢、王劭撰)に廳事という語が出ている。これは聽事と同じで、民の訴え事を聴く場所の意味。事を略して単に廳と書き、役所を意味するようになった。