「潮」

白川静『常用字解』
「形声。音符は朝。朝は草の間に日が出ているが、残月がなおかかる形で、朝あけの時をいう。朝の金文の字形には、月に代えて水をかく字があるが、朝の潮の満ち引きを示した字である。潮は“しお、うしお” の意味に用いる」

[考察]
字形から意味を導くのが白川漢字学説の方法である。朝は「あさ」の意味で、朝に潮が満ち引きするから潮は「しお」の意味だという。
朝と夕の2回潮汐現象があるから、あさしおを潮、ゆうしおを汐と書く。これは確かに分かりやすい。しかし言葉という観点から見ると、語源説としては弱い。
1288「朝」で述べたように、「あさ」という時間は中心である昼への過渡の時間であり、「中心へ向かう」というのがdiogという言葉のコアにあるイメージである。このコアイメージが「しお」を意味する言葉を生み出すのである。すなわち海の水が陸地(海岸)に押し寄せてくる現象がしおである。だから「朝(音・イメージ記号)+水(限定符号)」を合わせた潮の図形を作り、「しお」を意味するdiɔgを表記した。海→陸への移動は周辺→中心であるので、「中心に向かう」というイメージがある。