「摩」
白川静『常用字解』
「形声。音符は麻。説文に“研ぐなり” とあり、両手をすり合わせることを摩という」
[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では麻から会意的に説明していない。字源を放棄している。
摩は古典で次のように使われている。
原文:墨子兼愛、摩頂放踵、利天下爲之。
訓読:墨子は兼愛、頂を摩して踵に放(いた)るも、天下を利せんとして之を為す。
翻訳:墨子は博愛主義で、頭から踵まですり減らしても、天下の利益のためにそうするのだ――『孟子』尽心上
摩はごしごしとこする意味であ使われている。
摩は「麻(音・イメージ記号)+手(限定符号)」と解析する。麻はアサの意味であるが、アサから繊維を取る作業から生まれた語で、「柔らかくもみほぐす」「こすってもむ」というイメージがある(1728「麻」を見よ)。手は手の動作と関係があることを示す限定符号。したがって摩は手でもんだりこすったりする動作を表している。この意匠によって上記の意味をもつ古典漢語muar(呉音でマ、漢音でバ)を表記する。
白川静『常用字解』
「形声。音符は麻。説文に“研ぐなり” とあり、両手をすり合わせることを摩という」
[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では麻から会意的に説明していない。字源を放棄している。
摩は古典で次のように使われている。
原文:墨子兼愛、摩頂放踵、利天下爲之。
訓読:墨子は兼愛、頂を摩して踵に放(いた)るも、天下を利せんとして之を為す。
翻訳:墨子は博愛主義で、頭から踵まですり減らしても、天下の利益のためにそうするのだ――『孟子』尽心上
摩はごしごしとこする意味であ使われている。
摩は「麻(音・イメージ記号)+手(限定符号)」と解析する。麻はアサの意味であるが、アサから繊維を取る作業から生まれた語で、「柔らかくもみほぐす」「こすってもむ」というイメージがある(1728「麻」を見よ)。手は手の動作と関係があることを示す限定符号。したがって摩は手でもんだりこすったりする動作を表している。この意匠によって上記の意味をもつ古典漢語muar(呉音でマ、漢音でバ)を表記する。