「斗」

白川静『常用字解』
「象形。柄のついた柄杓の形。升は勺(ひしゃく)でものを挹む形で、その挹んだ分量の名となった。斗は容量の単位で、一升の十倍をいう。一斗の量をはかる“斗枡、ます” の意味にも用いる。北斗七星は、その七つの星の配置の形が斗の形に似ているので、北斗七星と名づけられた」

[考察]
斗の意味は分量の名→ます→北斗七星と転じたという。
最古の古典では次の用例がある。
①原文:酌以大斗 以祈黃耇
 訓読:酌むに大斗を以てし 以て黄耇コウコウを祈る
 翻訳:大きなひしゃくで酒を酌み どうか長生きをと祈る――『詩経』大雅・行葦
②原文:維北有斗 西柄之揭
 訓読:維(こ)れ北に斗有り 西柄之(こ)れ掲ぐ
 翻訳:北の空にはひしゃく星 西の方に柄を上げる――『詩経』小雅・大東 
斗を星の名に使うのは紀元前11世紀頃には既に現れていた。
斗の意味は、ひしゃく→北斗七星→ます→容量の単位という展開が考えられる。