「曇」

白川静『常用字解』
「会意。日光が雲に遮られる形で、“くもる、くもり” の意味となる」

[考察]
「日+雲」からドンの音を推定するのは難しいが、意味は誰でも分かる。ただし字形から意味が出るわけではなく、意味を暗示させるだけである。
この漢字の出現するのは後漢の頃で、専ら梵語の音写字に使われた。また姓にも用いられる。六朝以後になって初めて曇曇(雲気が立ち込めるさま)などの用例が現れる。
古音はdəm(呉音でドム、漢音でタム)である。この語は潭(深い淵)や湛(深く水を湛える)と同源で、「深い」というコアイメージがある。雲気がどんよりと深く垂れることをdəm(曇)という。日本語ではこれを「くもり」と訳す。