「弁(瓣)」

白川静『常用字解』
「形声。音符は辡べん。説文に“瓜中の実なり”とあって、瓜の中の“たね”をいう。のち“はなびら”の意味に用いる」

[考察]
辡は1653「弁(辨)」では「辛(入れ墨用の針)を二つ並べた形で、裁判にあたって原告と被告が誓約して争うこと」と解釈している。本項ではこれを用いていない。用いようがないからだろう。
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では会意的な説明をしていない。白川漢字学説に自らそむいている。
瓣は「辡(音・イメージ記号)+瓜(限定符号)」と解析する。辡は「辛(刃物)+辛」を合わせて、「二つに切り分ける」というイメージを示す記号である(1653「弁(辨)」を見よ)。「二つに分ける」というイメージを図示すると、▯-▯の形。これは視点を変えると「二つ並ぶ」のイメージともなる。▯-▯が連鎖すると▯-▯-▯-▯の形。これは「次々に順序よく並ぶ」というイメージになる。瓜はウリと関係があることを示す限定符号。したがって瓣はきれいに並ぶウリのさねを暗示させる。また「順序よく(きれいに)並ぶ」というイメージから、重なり合って並んでいる花びらという意味を派生する。