「棚」

白川静『常用字解」
「形声。音符は朋。説文に“桟なり”とあり、桟道(かけはし)をいう。家の中の“たな”の意味にも用いる」 

[考察]
白川漢字学説は形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、朋から会意的に説明できず、字源を放棄している。
棚は「朋(音・イメージ記号)+木(限定符号)」と解析する。朋については1686「崩」で述べたように、貝をつないで二連並べたものである。「▯-▯ の形に並ぶ」というイメージを表す記号となる。▯-▯の形が連鎖すると ▯-▯-▯-▯の形になる。木を▯-▯-▯-▯の形に並べたものが棚の図形的意匠である。古典漢語では「かけはし」をbeng(呉音でビヤウ、漢音でハウ)といい、棚の図形で表記した。
日本では「たな」の意味とした。「たな」も「かけはし」のように木を並べたものであり、それに物を載せる用途がある。