「磨」
白川静『常用字解』
「形声。音符は麻。広雅に“礪みがくなり”とあり、磨礪する(みがく)ことをいう」
[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では麻から会意的に説明していない。白川学説の体をなしていない。字源を放棄している。
磨は語史が非常に古い。古典に次の用例がある。
原文:如琢如磨
訓読:琢するが如く磨するが如し
翻訳:[君子の成長ぶりは]玉を削ったかのよう 石をみがいたかのよう――『詩経』衛風・淇奥
磨は堅いものの表面をこすって平らにする(みがく)の意味で使われている。これを古典漢語ではmuar(呉音でマ、漢音でバ)という。これを代替する視覚記号として䃺(磨はその変形)が考案された。
䃺は「靡ビ(音・イメージ記号)+石(限定符号)」と解析する。靡は「麻(音・イメージ記号)+非(イメージ補助記号)」と解析する。麻は「こすってもむ」というイメージがある(1728「麻」を見よ)。非は「二つに分かれる」というイメージがある(1537「非」を見よ)。靡は物体の表面をこすって、でこぼこを細かく砕いて、破片を分散させる状況を示す。この行為の前半に視点を置くと「物をこすってみがく」というイメージ、後半に視点を置くと「細かく分かれる」というイメージになる。石は石と関係があることを示す限定符号。したがって䃺は石や玉をみがいて、表面のでこぼこを取って分散させ、平らにする状況を暗示させる。この意匠によって、上記の意味をもつmuarを表記した。
白川静『常用字解』
「形声。音符は麻。広雅に“礪みがくなり”とあり、磨礪する(みがく)ことをいう」
[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく会意的に説くのが特徴であるが、本項では麻から会意的に説明していない。白川学説の体をなしていない。字源を放棄している。
磨は語史が非常に古い。古典に次の用例がある。
原文:如琢如磨
訓読:琢するが如く磨するが如し
翻訳:[君子の成長ぶりは]玉を削ったかのよう 石をみがいたかのよう――『詩経』衛風・淇奥
磨は堅いものの表面をこすって平らにする(みがく)の意味で使われている。これを古典漢語ではmuar(呉音でマ、漢音でバ)という。これを代替する視覚記号として䃺(磨はその変形)が考案された。
䃺は「靡ビ(音・イメージ記号)+石(限定符号)」と解析する。靡は「麻(音・イメージ記号)+非(イメージ補助記号)」と解析する。麻は「こすってもむ」というイメージがある(1728「麻」を見よ)。非は「二つに分かれる」というイメージがある(1537「非」を見よ)。靡は物体の表面をこすって、でこぼこを細かく砕いて、破片を分散させる状況を示す。この行為の前半に視点を置くと「物をこすってみがく」というイメージ、後半に視点を置くと「細かく分かれる」というイメージになる。石は石と関係があることを示す限定符号。したがって䃺は石や玉をみがいて、表面のでこぼこを取って分散させ、平らにする状況を暗示させる。この意匠によって、上記の意味をもつmuarを表記した。
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