「羽」
翩の右側が元の形(正字、旧字体)である。

白川静『常用字解』
「象形。鳥の羽を二枚並べた形で、‘はね’の意味となる」

[考察]
「はね」の意味には違いないが、字形から意味が出るわけではない。「はね」の意味をもつ古典漢語のɦiuagを視覚記号に換えて羽と表記したのである。字源の問題はその後に来る話である。白川漢字学説は形に意味があるとし、言葉を無視するのが大きな特徴である。

古人は「羽は宇なり」という語源意識をもっていた。宇は「⁀形に覆いかぶさる」というコアイメージがある。鳥のはねは全身を覆うものであるから、宇と同音でɦiuagというのである。『風俗通義』に「羽は宇なり。物聚蔵して之を宇覆するなり」(物がたくさん集まって覆いかぶさる)とある。まさに鳥のはねの特徴を捉えている。
漢字が未解読の文字だったとすれば、羽を鳥のはねの形とするのは相当困難である。鳥のはねには見えない。しかし古典で羽が鳥のはねの意味で使われているから、羽は鳥のはねの形であろうと逆推できる。いきなり羽は鳥のはねの形だから「はね」の意味になったという説明は合理的ではない。