「河」

白川静『常用字解』
「形声。音符は可。可には呵のように大きな声を出してしかるの意味と、㇆(カ) は木の枝であるから折れ曲がるの意味とがある。中国では単に河といえば黄河をさす。黄河はオルドスの所で九十度曲がって南に流れ、渭水との合流地点からまた九十度屈折して東に流れる」

[考察]
珍しく正しい解釈である。ただし白川漢字学説では形声の説明原理がないため、可を「大きな声を出してしかる」の意味としたり、「折れ曲がる」の意味としたりしている。可にそんな意味はない。意味とは形の解釈から出るのではなく、言葉の意味であり、具体的文脈に現れる語の使い方である。
可は「ᒣ形をなす」というイメージを示す記号である(111「可」を見よ)。意味ではなくイメージである。河は「可(音・イメージ記号)+水(限定符号)」と解析する。流路が何度もᒣ形に曲がる「かわ」を暗示させる。黄河はこの特徴をそなえているので、古典漢語でɦarといい、河という図形で表記する。古典では黄河を単に「河」と称する。大きなかわの意味に用いるのはその転義である。
ちなみに漢代になって環境破壊が進んで水が黄色に濁ったため、その特徴から黄河という言葉が生まれた。