「架」

白川静『常用字解』
「形声。音符は加。加に加えるの意味があり、木(二本の柱)の上にかけ渡すもの、またかけ渡すことをいい、“たな、けた、かける” の意味に用いる」

[考察]
「加える」と「かけ渡す」の関係がはっきりしない。 白川漢字学説は形声の説明原理がないのが特徴である。形声の説明原理とは語のコアイメージを捉える方法である。架の根底にあるのは加のコアイメージである。

加は「力(ちから。イメージ記号)+口(言葉に関わる限定符号)」と解析する。他人に圧力を重ねてくわえる情景を暗示させる図形である。しかし古典漢語のkărは最初は「ある物の上に別の物をのせる」という意味で使われ、『詩経』に「弋ヨクしてここに之を加ふ」(鳥を射止めて、これをお膳にのせる)という用例がある。AのほかにBをくわえる(プラスする)はその転義であり、他人に圧力をかける(しのぐ、凌駕する)はさらに転じたもの。「加」はこの転義を図形化したものである(以上は110「加」ですでに述べた)。

このように加のコアイメージは「上にのせる」である。したがって架は「加カ(音・イメージ記号)+木(限定符号)」と解析する。この図形は物をのせるための木製の台を暗示させる。
 ただし支柱のない台座とは違い、両側に支柱を置き、その間にのせる棚をかけ渡したものが架である。書架、衣架の架はこれである。図形的解釈と意味には少しずれがある。