「靴」

白川静『常用字解』
「形声。音符は化。字はまた鞾に作る。もとは軍靴であったらしい」

[考察]
字源の説明になっていない。
「くつ」は布製が普通だったが、胡人(中国北方の異民族)の製法を取り入れ、革製のくつが、後漢~三国の頃に 登場する。革製のくつを意味する外来語を「華(音・イメージ記号)+革(限定符号)」を合わせた鞾で表記した。六朝時代に華が花に字体を変えたため、鞾は靴と書かれるようになった。字体が変わるのはコアイメージの変化によることがある。化は「Aが姿・性質を変えてBになる」というコアメージがある(108「化」を見よ)。動物の革を加工して形を変えた生産物を暗示させるのが靴の図形的意匠である。
外来語を漢字に仕立てる方法は、外来語の一部の音と似た漢字を利用するが、音の似た漢字を選ぶ際、意味の類似も同時に絡ませる場合がある。これは音意両訳の方法である。靴のほかに僧・塔・鉢・魔などがある。