「芽」

白川静『常用字解』
「形声。音符は牙。牙は獣の牙の形で、強くて鋭く曲がった形をしている。草や木の芽も、そのような力を含んで生えてくるので、草かんむりをつけて芽といい、“め、芽ぐむ、きざす ”の意味に用いる」

[考察]
草木の「め」と獣の「きば」が似ているから芽というとするのは正しいだろうか。牙は強くて鋭く曲がった形をしており、「め」はそのような力(強く鋭い力)を含んで生えるという。しかし「め」は弱々しいものではなかろうか。「とげ」ならば「強くて鋭い」と言えなくはないが。

古典漢語で草木の「め」をngăg(呉音はゲ、漢音はガ)といい、「芽」という視覚記号で表記する。これは「牙(音・イメージ記号)+艸(限定符号)」と解析する。
牙は獣の「きば」であるが、「きば」の形態的特徴を図示すると∧∧∧∧の形であり、これは「ぎざぎざ」というイメージである。また上下を合わせると∧∨∧∨の形で、これは「互い違いにかみ合う」というイメージである。牙は「きば」という実体を離れて、「ぎざぎざ」「食い違う」「交差する」というイメージを示す記号となっている。したがって植物茎や枝に新しく出てくるぎざぎざした形の組織体、あるいは茎や枝に互い違いに出てくる組織体を「芽」で暗示させる。