「概」
正字(旧字体)は「槪」である。

白川静『常用字解』
「形声。音符は既。説文では槩に作り、ますに入れた穀物の上を平らにならす道具である“とかき” であるという。ならして高さを同じようにするので、“あらまし、おおむね、おおよそ”の意味となる」

[考察]
白川漢字学説では形声の説明原理がない。慨の項では会意的に説いているが(173「慨」を見よ)、本項では既からの説明を放棄している。
形声の説明原理は語源と絡ませる方法である。すなわち語の深層構造を捉え、意味のイメージをどのような図形に表現したかを究明する方法である。
まず古典での実例を調べ、意味を確定することから始める。次の用例がある。
 原文:量之不可使槪、至滿而止。
 訓読:之を量るに概を使ふべからず、満に至りて止まる。
 翻訳:これ[水]を量るにはますかきを使ってはならない。満杯になると自然に止まるからだ――『管子』水地

概は穀物などを量る道具の名である。日本語では「ますかき」または「とかき」という。古典漢語ではkədといい、概と表記する。これは「既(音・イメージ記号)+木(限定符号)」と解析する。既は「いっぱい詰まる」「満ちる」というイメージを示す記号である(271「既」、173「慨」を見よ)。穀物などを量る際に升にいっぱいになるように表面を搔いて均す木の棒を「概」の図形によって暗示させる。
ますかきは升を平らに均す機能があるから、全体を平らに均す(概括)、全体のあらまし(梗概)、おおむね(概して)と意味が展開する。