「確」

白川静『常用字解』
「形声。音符は隺。隺は飛び立とうとする隹(とり)の上に冂ケイ(枠の形)を加えて、強くひき止めることをいう。隺に石を添えて、石が“かたい”という意味を加えたもので、石でかためたものは固くしっかりしたものである。“かたい、たしか”の意味に用いる」

[考察]
形から意味を導くのが白川漢字学説の方法である。隺(強くひき止める)+石(石がかたい)→確(かたい、たしか)と意味を導く。しかし「強く引き止める」は意味とどう関わるのか不明。限定符号の石から「かたい」の意味を導いたように見える。
限定符号から意味を導くのは大いに間違っている。限定符号とは意味の領域が何と関わるかを示す付加的な符号であって、意味素には含まれないことが多い。確に「石がかたい」という意味はない。ではなぜ石の限定符号をつけたのか。限定符号の役割はカテゴリーを表示するほかに、図形的意匠を構想する際の場面作りの働きがある。この場合は「比喩的限定符号」と呼ぶのがよい。
意味の深層構造に関わるのは隺である。確は「隺カク(音・イメージ記号)+石(限定符号)」と解析する。隺は鶴の左側と同じ。「冖(枠)+隹(とり)」を合わせて、鳥が枠を突き抜けて高く飛ぶ情景を暗示させる。この意匠によって、「高い」と「ツル」を表す。古典漢語では「固い」「乾く」「白い」は可逆的(相互転化可能)な三つ組みイメージである。物を高い所に置くと、物は乾いて、固くなったり、白くなったりする現象があるので、これらのイメージが同じ語で捉えられることがある。だから隺は「固い」と「白い」のイメージを表す記号になりうる。「固い」のイメージは確で実現され、「白い」のイメージは鶴で実現された。
確は事態が石のように固くて動きようがない情況を暗示させる。石は比喩である。『易経』に「確乎として其れ抜くべからず」(固くしっかりしていて[その人の意志を]奪い取ることはできない)という用例がある。確は「固くて動かしようがない」の意味で、物理的に固いの意味ではない。