「活」

白川静『常用字解』
「形声。音符は舌カツ。舌のもとの字は𠯑に作り、小さな把手のついた刀(氏)でㅂ(神への祈りの文である祝詞を入れてある器の形)を刺し、その祈りの効果を失わせることで、刮(けず)るという意味がある。その刮るときの音を形容して活活という。活とは生命の生き生きとして勢いのある力をいい、“いきる” の意味に用いる」

[考察]
疑問点は括と共通である(196「括」を見よ)。なぜ刀で器を刺すことが祈りの効果を失わせることになるのか。それがなぜ刮るという意味になるのか。刮るときの音がなぜ活活(kuat-kuat)なのか。それがなぜ「生命の生き生きとして勢いのある力」の意味になるのか。水はどう関わっているのか。意味の展開が不自然である。
古典で活はどのように使われているかを調べるのが先である。次の用例がある。
 原文:河水洋洋 北流活活
 訓読:河水洋洋たり 北に流れて活活たり
 翻訳:黄河の水は満々と 北に流れてすいすいと――『詩経』衛風・碩人

活は水がスムーズに勢いよくながれる意味である。ある範囲の中を何の障害もなくすらすらと通っていくので、勢いがよいというイメージになる。川の水の流れ方についていう言葉がkuatである。この語は「スムーズに通る」というコアイメージがある。これを表すのが𠯑(舌は変形で、「した」ではない)という記号である。𠯑は「氒+口」を合わせたもの。氒は先端がY形の道具の図形。それに口(穴)を添えて、「穴をえぐる」「穴を開けてスムーズに通る」というイメージを示す記号となる(196「括]を見よ)。したがって「𠯑(音・イメージ記号)+水(限定符号)」を合わせた活は、水が河道を通ってスムーズにながれる情景を暗示させる。
意味は水が勢いよく流れる→エネルギーをもって動いている(生き生きしている)→生命やエネルギーがあって生き生きと動く(生きている・生きる)→生き生きと働くように役立てる(いかす)と展開する。