「褐」
正字(旧字体)は「褐」である。

白川静『常用字解』
「形声。音符は曷。褐はあらい麻の織物で、その色は褐色(こげちゃいろ)であった」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく、すべて会意的に説くのが特徴である。本項では曷からの解釈ができないので字源を放棄した。
形声の説明原理とは言葉の深層構造から語源的に解釈する方法である。褐は曷が深層構造と関わる部分である。曷のコアイメージは「遮り止める」であり、これは「水分が尽きてなくなる」というイメージに転化する(198「喝」、199「渇」 を見よ)。「曷カツ(音・イメージ記号)+水(限定符号)」を合わせた褐は水分のうるおいの乏しい衣服を暗示させる。この図形的意匠によって、粗い毛や麻で編んだ粗末な衣を意味する言葉を表記する。褐は衣(シルクのころも)に対する語として使われ、『詩経』に用例がある。
褐色の褐はうるおいがないような色、つまり黒みがかった茶色の意味。